Dさん夫妻は、現在お住まいの自宅から車で一時間ほどの所に実家があったのだが、ご両親が亡くなって以来ずっと空き家となっていた。Dさんは長男。先祖代々の土地であり、法事などで親戚一同が集まる場としても必要なので、いつまでも放っておくわけにもいかず気がかりの種だったが、かといって、こちらに移り住むというわけにもいかない事情があった。ご主人は、本業を定年したとはいえ、平日は仕事で呼び出されることがままある。
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なにより子育てをしながら夫婦で長年暮らした家だ。土地には愛着もあるし、近所に友達もたくさんいる。特に専業主婦の奥さんにとっては、交友関係のほとんどはご近所の友人だ。定年後、実家に帰ろうと提案する亭主は多いが、たいてい奥さんの反対にあって取りやめとなるというのはよくある話だ。それに実家のまわりは田舎のため大きな病院もない。これから10年先、20年先を考えると、移住というプランは現実的ではない。最終的にDさんは、現在住んでいる家を終の棲家としてリフォームし、実家は週末を楽しむためのウイークエンドハウスとして建て替えることにした。広い土地に愛犬を放して遊ばせることもできる。家庭菜園などを楽しむだけの土地もある。定年を迎えた世の亭主たちが望むような田舎暮らしを週末だけ実現しながら、生活の基盤はこれまで住んだ土地で続けていくという、両方を生かした案である。