家庭において子どもが親に丸抱えされる原因は、子どもの甘えや親の甘やかしといった個人的・心理的な事情だけにあるわけではない。先に紹介した宮本みち子は、日本では、若者の自立を達成させるための支援がもっぱら親に負わされ、国家の果たす役割が欧米諸国のレベルに比べると著しく低いことを指摘している。たとえば日本では、行政による奨学金や資金の貸し付けも、保護者の所得が低い者やどうしても保護者に頼れない者に限られるのが原則である。
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また、数少ない学生寮も福祉目的に重点が置かれ、保護者の所得制限がある場合も多い。宮本によれば、イギリスをはじめとする欧米諸国では、子どもに対する親の責任は成人年齢(一八歳)までという意識が個人にも社会にも浸透しており、そこから先は住宅給付・奨学金・学生生活補助金・失業手当などの制度が整備されている。大学に関しても、授業料の免除や奨学金の他、低家賃の学生寮や低金利の貸し付け制度などがもうけられ、大学生たちは親元を離れて学校に通うことができるという。現在ではこうした国々でも福祉の切り下げ圧力が増しているが、日本の現状に比べればはるかに高いレベルを保っている。